性病の症状

感染者数最多の性病「クラミジア」ってどんな病気?症状は?

クラミジア

性器クラミジア感染症クラミジア(英語:Chlamydia)とは、ヒトや動物の細胞に寄生して繁殖する微生物。

4種類のタイプがあり、その中の一種である病原体クラミジア・トラコマチスに感染することで、性器クラミジア感染症という細菌性の性行為感染症(STD)を患います。

性器クラミジア感染症の特徴

単にクラミジアと呼ばれることの方が多いですが、正式には性器クラミジア感染症という名前の性感染症です。

主に性行為によって感染し、世界で一番多い性病と言われています。

患者数が多い理由のひとつは、クラミジアに感染しても症状が出にくいことが挙げられます。

そのため、クラミジア保菌者が無自覚のまま性行為を行い、新たな感染者を生み、その感染者もまた無自覚のまま性行為を行い、連鎖的に性器クラミジアを拡大させます。

若年層にも広がっているクラミジア

近年では国内の初性行為の低年齢化に伴い、10代や20代のクラミジア感染への憂慮の声が広まっています。

特に全体と比べて、若年女性のクラミジア感染率が高くなっています。

厚生労働省の調査では、10代で10人に1人、20代では20人に3人がクラミジア感染を経験しているというデータがあり、欧米の先進国よりも感染率が高いと指摘されています。

これらの感染率の高さが将来の不妊症への影響につながるとして懸念されているが、やはり本人の自覚症状が乏しいため、検査をしないまま診断治療に至らないケースが多い。

クラミジアを放置するリスクは不妊症だけではない

クラミジアによる不妊症を免れたとしても、しっかりと治療をしないままでいると、出産時に新生児へクラミジアを感染させる(母子感染)こともあります。

さらに性器クラミジア感染者はHIVに感染しやすいということがわかっています。

このようなことからも、クラミジアの検査をする時には一緒にHIV/エイズ検査をすることも推奨されています。

性器クラミジア感染症の原因

性器クラミジアの原因や感染経路は、クラミジアの保菌者との性行為による直接接触で、粘膜や精液などの体液から、主に泌尿生殖器へと感染します。

オーラルセックスやキスによって、口から口、口から性器、性器から口などを経由してクラミジアに感染するケースもあります。口の中にクラミジアが感染することを、咽頭クラミジア(いんとうクラミジア)と言います。

また女性が分娩時に性器クラミジアに感染していると、出産時に新生児へ産道感染し、新生児結膜炎や新生児肺炎を引き起こす原因となります。

クラミジアはヘルペスと違い、一度治療を終え完治すれば、新たにクラミジアと接触がない限り再発を起こすことのない性感染症です。

空気感染や浴槽からなどの間接的な感染は基本的にありません。

性器クラミジア感染症の症状

性器クラミジアに感染すると、原因となる接触から約1〜3週間の潜伏期間を経て発症します。また、感染していても症状が軽かったり出なかったりと自覚されない例も多いので、重症化のリスクが高く、注意が必要な性病です。

性器クラミジアに感染すると、以下の症状が発症します。

男性の症状

患部

尿道、睾丸(こうがん)、前立腺

症状

男性が性器クラミジアに感染すると、尿道炎の発症が最も多く、おしっこの時に違和感や排尿痛がみられ、場合によっては下着に粘液性の分泌物が確認されることもあります。

しかしこれらの症状が軽いケースも多く、感染者本人は無自覚のまま症状が進行し、重症化するケースが多い

クラミジアが体の深部へ進行し重症化すると、前立腺炎副睾丸炎(精巣上体炎)による陰のう(金玉、玉袋)の腫れや圧痛が発症し、歩いたり触ったりすることでも痛みだします。ここに至って、排尿時の違和感や細菌尿によって自覚する場合もあります。

また、前立腺の炎症によって精液の成分に変化が起こり、精子の運動能が低下したり、精子が作れなくなる無精子症になってしまい不妊症の原因となります

さらにHIVの感染率が高まるため、少しでも心当たりがあれば早めの検査をおすすめします。

女性の症状

患部

子宮頸管(子宮入り口)、陰唇(ヒダ状の部分)、卵巣、下腹部

症状

女性が性器クラミジアに感染するとおりものが増え、黄色い濃いおりものが確認されることもあります。

これは子宮頸管炎(子宮頚部の炎症)によるもので、進行具合によって排尿痛や頻尿、下腹部の痛み、性行為時の痛み、性行為後の出血及び不正出血の症状がみられます。

しかし症状が軽く感染を自覚していない場合があり、無自覚のままクラミジアが体内深部へ侵入してしまい、重症化してから自覚するケースも少なくありません。

重症化すると、卵巣や卵管、子宮などの器官周辺に炎症が起きる骨盤腹膜炎を発症します。発熱や寒気、腹痛、震えや吐き気をもよおします。

これらは不妊症や早産、子宮外妊娠との原因となります。さらにHIVの感染率高まるので、ちょっとでも心当たりがあれば早めの検査をおすすめします

またクラミジアが子宮頸管部に感染している場合、5人に1人、約20%の方は咽頭(のど周辺)にも感染していると言われています。

咽頭クラミジアの症状

キスやオーラルセックスにより咽頭クラミジアに感染すると、のどが腫れて痛くなり風邪のような症状がではじめ、タンが増えます。これは咽頭炎、慢性の扁桃腺炎が引き起こされて発症します。

進行すると耳に圧迫されたような痛みを感じられることもあり、中耳炎や首のリンパが腫れる症状もみられます。

また咽頭クラミジアは、性器クラミジアよりも治療の時間を有するといわれています。

性器クラミジアの治療法

性器クラミジア、咽頭クラミジアの治療には抗生物質を1〜2週間服用し、死滅させることで完治します。おもに、マクロライド系薬やテトラサイクリン系薬、ニューキノロン系薬の抗菌薬を使用。 薬を服用中に、飲酒をすると効果が薄れて治癒率が低下します。

また症状が急激に表れ、緊急を要する時には点滴治療ののちに、抗菌薬の服用に切り替える場合もあります。

クラミジアの予防には、不特定多数や感染が疑われる相手との性的交渉を避け、性行為に及ぶ際にはコンドームの使用で防ぐことが可能です