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梅毒の症状・原因・治療法

梅毒(読み:ばいどく 英語:Syphilis)とは、主に性的接触によって梅毒トレポネーマ(英語: Treponema pallidum)という細菌に感染し発症する性感染症(STD)。

国から五類感染症に定められおり、すべての医師に届け出の義務がある。

梅毒の特徴

梅毒の歴史は非常に古く、1400年代後期にはヨーロッパで大流行し、日本では1512年の文献「再昌草」で確認されているほど古く代表的な性感染症です。

昔から多くの人々が命を落としてきた恐ろしい性病でしたが、1942年のペニシリン実用化によって梅毒感染者は格段に減少しました。

しかし厚生労働省によると、2010年の国内梅毒感染報告件数が621名だったのに対し2014年では1661名と3倍近くの増加が見られ、2015年では2692名で2014年の1.6倍と急増しており、今後も増え続けると予想されています。

この数はあくまでも診断した医師が報告した数であり、実際の感染者数は確実にこれより多いと言えます。公的機関のホームーページで梅毒に関する情報を掲載するなどして喚起を促すほどの注意が必要な性感染症です。

この梅毒の急増には男性間性交渉(男性同士の性交渉)の増加が原因であると考えられていましたが、最近では20代女性の梅毒感染報告が多くなってきているため、単純に男性間性交渉だけが理由であるとは言えない状況になってきています。

また、HIVと梅毒の合併感染の例も報告されており、発見が遅れると治療が複雑になり、重症化が見込まれるケースも多い。

別名で黴毒、瘡毒(そうどく)とも言われます。

梅毒の症状

梅毒はゆっくりと時間をかけて全身に進行していくため、時期によって症状に違いがあり、個人差も大きく、初期段階や時期によって無症状のこともある注意が必要な感染症です。

男女ともに症状が似ているため、ここでは併記します。

第1期梅毒

期間

感染後3週間から3ヶ月まで

患部

感染部位に表れるが、主に男性では「亀頭部・包皮・肛門・冠状溝(亀頭と陰茎体の境)」女性では「子宮頚部・大小陰唇・肛門・口腔」が多い。

まれに口唇や手指といった性器以外にも表れるが、その数は全体の2〜3%以下と少ない。

症状

侵入元の感染部位に赤い小豆程度の腫れ物や潰瘍(組織の欠損)ができる。これを硬性下疳(こうせいげかん)といいます。

一般的に痛みは感じらず、放置していても2〜3週間で消え、次の第2期入るまで症状は見られません。

第2期梅毒

期間

感染後3ヶ月から3年まで

患部

男女ともに全身

症状

全身にブツブツや発疹がいくつも見られるようになります。

場合によっては毛が抜けはじめ、虫喰いのような円形・類円形の脱毛で頭髪がまだらになり、免疫が低下することでブツブツの中身が膿である膿疱が見られるようになる。

これらのどれか一つだけの症状が起きたり入り混じったりしながら、自然にブツブツが消えたり再発を繰り返えし、第3期第4期へと移行していきます。

第3期梅毒

期間

感染から3年以上

患部

特になし

症状

表面的にはなにごともなく、体調の良い日々が続きます。しかし、体の中では病気が静かに進行しており、内蔵や皮膚を蝕んでいきます。

第4期梅毒

期間

末期

患部

血管、神経

症状

血管が腫れたり、全身や体の一部に麻痺症状が現れます。放置し続けると、脳や心臓に障害が起き、最悪の場合は死に至ります。

梅毒の原因

感染経路は、梅毒を持った相手との性行為による感染が7〜8割で、セックスやアナルセックス、フェラチオなどのオーラルセックスによる粘膜の接触や皮膚の小さな傷から菌が侵入し感染する。

妊娠と梅毒

妊娠時に梅毒を患っていると、お腹の中にいる赤ちゃんにも梅毒が感染します。このことを母子感染といいます。

母子感染の場合、流産や死産、または生まれる赤ちゃんが梅毒である先天梅毒の原因となることがあるため、妊娠初期までに検査をする必要があります。

梅毒の治療法

現時点での梅毒の治療には、殺菌的なペニシリン(バイシリンG)の服用で菌を死滅させるのが基本となる。

期間は、第1期で2〜4週間、第2期で倍の4〜8週間、第3期以降では8〜12週間の時間を要する。
感染が1年以上や感染時期が不明な場合でもは8〜12週間となる。

しかし第3期以降の症状は、菌によって引き起こされた障害であって菌を死滅させても障害を元に戻すことはできない。そのため早期の検査と治療が大切となってくる。

神経梅毒や先天梅毒の治療

これらのケースでは、ベンジルペニシリンカリウムを10日〜2週間の間、点滴静注する。